P.127
「あのさ、ここがどこだかわかってんの?」
男は壁から体を離し、私の方を向くと、わざとらしく、落ち着き払ったゆっくりとした口調で言った。
その顔は無理やり作ったという感じで、その目は一切笑ってない。
「は?炎雷の溜まり場でしょ?」
男の意図がわからず、当たり前の答えを淡々と返す。
「なんでお前がここにいんの?」
「耀に言われてるんじゃないの?」
「俺は、お前がどういうつもりでいるのか聞いてんの」
「『いろ』って言われてるからいるだけよ。」
「は?護ってもらってんじゃねーのかよ」
私の答えに、作られた笑顔は消え、男は少し声を荒げた。
「悪いけど、私は護ってほしいなんて言ってない。というか、本当は護ってくれなくたっていい」
それでも私はいつものように表情も変えずに返す。
「あ゛?」
「安心して。私はここにいていい人じゃないことくらいわかってるから。姫だなんて勘違いもいいとこ。
私は、仲間ぶる気もないし、ここを荒らす気もない。
本当は、すぐにでもいなくなってあげたいけど、それはまだ無理みたいだから、少しだけ我慢しててくれる?心配しなくても、事が終わればすぐいなくなるから。」
眉間にしわを寄せ、顰め面をする男に、そう淡々と言うと、私は男の横を通りすぎ、奥の部屋の扉を開けた。
そのまま中へ入るまで、男は何も言わなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます