P.115

そこに、ふと目に入ったのは、道路の隅にポツリとたたずむ、今時珍しい公衆電話。




真っ暗闇の中、人工的な光に包まれたそれは、ひっそりと、でもどこかなんともいえない奇妙な雰囲気を漂わせている。




私はそれをぼんやりと見つめながら、「そろそろ連絡しなくちゃな…」と心の中で呟いた。




そして、おもむろに公衆電話に向かうと、そっとそのドアを開けた。




財布から十円玉をいくつか取り出し、受話器をとってお金を入れると、チャリンチャリンと中にお金が落ちる音がした。



自然に動く指にまかせて、ゆっくりとボタンを押していく。




そして、携帯電話なんかよりも大きく、重い受話器を耳に当てると、プルルルル、プルルルルと電子音が鳴り出した。




プルルルル、プルルルルと一定間隔で繰り返されるそれは、永遠にさえ感じられる。




それでいいと思ったけれど、チャリンと十円玉が落ちる音とともに、それは切り替わった。



その瞬間、ドクンッと心臓がはねた気がした。

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