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「私に聞かれてもわかりませんよ。それを書いた人に聞いてくれます?」



「あ゛?」



私の呆れたような口ぶりに、怪訝な声をあげる総長様。




だけど、間違ったことは言っていないはず。


どういうことかなんて、被害者の私にわかるはずがない。




「いつからだ」


「さぁ?地味な嫌がらせは関係がバレた次の日には始まってましたけど?」



他人事のように言う私に、さらに眉間のしわを深くする総長様。



「なんで言わなかった?」


「こんなのいちいち報告するようなことじゃないじゃないですか」



何かしらの嫌がらせをされるだろうことは最初から予測できたこと。


それが実際に起こってから言われても「今さら」って感じ。


そもそも想定の範囲内のことは、特に気にもとめてない。



だけど、総長様は気にくわないようで、「チッ」と思いっきり舌打ちされた。



そんな私に、雅人も困った顔をしていた。




「誰がやったのかわかる?」


「さぁ?」



実際に何かをしているところに出くわしたことはない。


たとえ会ったとしても、それが誰かまでは私にはわからないだろう。


そもそも、『誰』と特定できるものなのだろうか?まちまちの字に、勝手に複数名の犯行だと思っていた。




「見つけ出せ」



総長様から雅人に向けられただろう言葉に、思わずため息が出そうになった。




なんでこの人達は、他人のことにこんなに首を突っ込もうとするのだろう?


今のところ、どれもが私に対する誹謗中傷で、それで炎雷に何か迷惑がかかるとは思えない。


それならほっておけばいいのに、どうして頼まれたわけでもないのに勝手に動こうとするのだろう。

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