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「あっ、耀と俺の番号は登録してあるから…。えっと、使い方はわかる?」



さっきの失言を気にしているのか、雅人は焦ったように言った。




「ある程度は。特に使うこともないと思うから大丈夫です。」


それに私はいつものように淡々と返した。



「あ、そう…」


そんな私に雅人はポツリとそう呟いた。





話しはこれで終わりのようで、耀はおもむろに雑誌を取り出すと、ペラペラと見始めた。




私も昨日のように寝てしまおうかと思ったけれど、


「南里ちゃん、南里ちゃん、ケータイってね連絡取るだけじゃないんだよ?音楽だって聞けちゃうし、ゲームもできるんだよ?!」


と、一生懸命携帯電話のよさを語りだしたり、



「なんか食べたいものある?」


と、別に怒ってるわけじゃないのに、やけに機嫌を取ろうとする雅人のせいでなかなか眠れなかった。




それに少しうんざりもしていたけれど、「うるせぇ」と総長様に怒られた雅人は少し可哀想に見えた。




けれど、「こいつが冷めてるのはいつものことじゃねぇか」という総長様の言葉はもっともだと思った。




というか、それに早く気付いてほしかった。



私があんなことぐらいで気にするわけないのに。




心地よいソファーに横になりながら、そっと目を閉じ、そう思った。

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