P.78

「あ、えっと…私はお腹すいてないから大丈夫です」



ここに来たのはいいけれど、すかないお腹はやっぱりすかない。


おいしそうな料理の写真がずらりと並んだメニューを見ても、特に食欲はわかなかった。




「え?耀のおごりだから遠慮しなくていいよ?」


「いや、そう言うことじゃなくて…」



見当違いなことを言う雅人にそう言ってやんわりと断ろうと思ったが、


「いいから何か食え」


と、隣に座った俺様総長様にバッサリ切られた。




「何かって…じゃぁ、サラダでいいです」


「他は?」


「それだけでいい」


「こんなんで足りんのかよ」



仕方なく答えたのに、総長様はご不満らしい。


私には十分すぎるというのに。




「それもいらないくらいなんですけど」


「チッ、そんなんだからそんなガリガリなんだよ。ちゃんと食わねーと死ぬぞ?」




だったら食べない方がいいじゃないかと心の中で思いながら、「大丈夫」と返しておいた。



別にヤバいヤツだと思われて離れていくのは構わないけれど、彼らはきっとそうはしないだろうから。



あえて口出すようなことでもないし、むだにつっこまれても面倒だ。



余計なことは口にしないのが一番。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る