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そして、車が止まった場所は、やっぱり昨日来た炎雷の溜まり場だった。



「降りろ」


昨日と同じようにそう言う総長様に、私は出るのを渋った。



ここがどこで、彼らが誰で、何でこうなっているのか状況がわかる今、昨日と違って混乱はない。


どうにか避けられないか悪あがきをしてみたけれど、見つかってしまったのならこれ以上どうしようもないこともわかってる。



でも、いろいろわかったからこそ、だ。


だって、ここは私が来ていいような場所ではない。




「あの…帰りたいんですけど」


「あ?」


「家から出ないようにしますから。それなら大丈夫ですよね?小宮さん、申し訳ないですけど、送って行ってもらえますか?」


「ダメだ」



そう答えたのは、小宮雅人…ではなく、圧倒的な威圧感を放つ総長様。




「どうしてですか?」



「いいから黙ってついて来い」


そう言うと、グイッと車から引きずり降ろされた。



腕を掴んだまま突き進む総長様に引っ張られながら、小宮雅人の方を振り返ると、ヘラっと笑うだけだった。



助けてくれなそうなその態度に諦めて、大人しくついて行った。

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