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あまりにも突然のことに、脳の処理が追いつかない。


予想外すぎる状況に、頭は全然上手く働かないけれど、連れ去られているという現状だけは理解できた。




「ごめんね?南里ちゃん。手荒なまねしちゃって」



ひとり状況が飲み込めずに混乱している中、どこかで聞いたことのある声がした。



顔をあげ、声がした方…運転席を見れば、見覚えのある金に近いキャラメルブラウンの髪。




「耀もいくらなんでも強引すぎだって」



男はそう言うと楽しそうに笑った。



それに顔を動かして振り返ると、案の定不機嫌な顔をした銀髪男。



いくら他人に興味がない私でも、この顔は一回見たら忘れられない。






「とりあえず座れ」



その言葉に今の自分の状況を振り返ってみれば、頭を働かせるのにいっぱいいっぱいで、身体は車のシートにダイブしたままだった。



自分のせいじゃないのに言われるがまま行動するのは少し癪だけど、この状態でいるのも辛い。


仕方なく、とりあえず倒れ込んだままの体勢から起き上がり、シートにきちんと座り直した。



そんな私を見て、キャラメルブラウンの男はまた楽しそうに笑った。

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