P.18

「…お前、名前は?」



「は?」



予想外の言葉に思わず間抜けな声が出た。



何かと思えば、名前?私の名前?



「助けてもらったお礼」とかで、助けてもらった方が名前を聞くならわかるけど、助けた方が名前を聞くパターンもあるのだろうか。


今日みたいに夜中に出歩いてることはあっても、誰かに絡まれたり引き止められたことなんて今までなかった。しかも2回も。



こういう時、名前を聞いたり聞かれたりするのは‘普通’なんだろうか。



‘普通’が何かわからないけど、ここで名前を言うのは気が引けた。


小さな子どもでも応えられるような簡単な問いに、まるで最初の一文字目の発し方を忘れてしまったかのように、喉の奥に詰まったまま口をつぐんだ。




そんな私を、変わらずじっと見つめてくる銀髪男。



その目は、獲物を捕らえた獣のように真っ直ぐで、私を捕らえて逃がさない。

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