P.19
「あのー、助けてもらっといて失礼だとは思いますが、見ず知らずの人にあまり言いたくはないんですけど」
とりあえず、思ったままを口にしてみる。
私の中ではこれが‘普通’だ。
だけど――
「俺のこと知らないのか?」
返ってきたのは、思ってもみなかった言葉。
「え?あー、知らないと思いますけど…どっかで会ったことありました?」
覚えてないだけでどこかで会ったことがあるのだろうか。さすがの私もこんな人と会ってたら覚えてそうだけど、基本的に他人に興味がないから覚えてなくても不思議ではない。
「いや、ない」
念のため聞いてみた私に、当たり前のように答える男。
なんなんだ?
会ったことないなら知るわけないだろう。
もしかして、やっぱり有名人だったりするのだろうか。
このカッコよさなら頷けるけれど、普段テレビを見ない私にはさっぱりわからない。
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