第12話
いらっしゃい。というマスター。
俺はカウンターに座るとヤナギも隣に来たので「カシの彼女かい」と聞かれた。「ヤナギだ」というと「そうかい」という。
「注文は」と聞くと「俺はウイスキーの水割りでヤナギはどうする?」と聞くと「カシスオレンジありますか」と聞く。
「ああーあるよ」というと早速作るマスター。
「ここが俺のお気に入りの場所だ」というと、「そうなの。どうして」と聞くヤナギ。
「俺、この店がないと情報屋になってないし」というと俺の過去を語り始めた。「俺な。生まれは隣町でな。俺の家は貧しかった。俺には兄弟がいて4人兄妹の一番上だった。末っ子の妹もいてな。親は身体が弱かった。俺は稼ぐためにストリートチルドレンとなってごみをアサって生活をしていた。収入はいい時でパン一つのお金だった。
弟も新聞配達してたり、畑を手伝いに行ったりしてなんとかやりくりしていた。妹は父と母の面倒をよく見ていた。
畑に行ってた弟はよく食料をもらってきて、兄ちゃん大丈夫っていって心強かった。ところがなある日、俺以外の家族全員が病気になってしまってな。朝起きると全員亡くなってしまっていたんだ。俺は恐怖だった。死ぬって怖いって思ったよ。その後、俺はこの町に来た。
このバーで働こうかと思い来た時人生を変える出来事に遭遇したんだ。それはある人との出会いだった。その人は腹ペコだった俺に「これ食え」とカレーを食べさせてくれたんだ。「それからその人は俺に
語った。「俺は蕾(つぼみ)っていうんだ。カレーのお礼はいいから、俺の家に来い」と言われた。
「今日からここがお前の家だ。お前は俺が立派に育ててやる」って言われた。宣言通りその人は俺を育ててくれた。学校に行けなかった俺に文字や数字を教えてくれた。蕾は俺を弟子にしたいと言って華麗組に連れてきた。蕾は俺のお師匠みたいなもんだけど、蕾って呼び捨てにしろって言われたから蕾って呼んでる。今はここのバーの経営者で来ることもあるから今日寄ってみたんだが来てないみたいだな」というと「ふふふ、私に紹介したかったんだね」というと、「ああー残念だよ」というと突然、「オーナーお久しぶりです。」というマスター。
「おおーカシ。立派になったな。よしよし」としてくれる蕾さん。
「こんにちわ。君がヤナギちゃんか」という。
「おいおい蕾、よしよしは照れるわ」という俺に蕾が「いつもクールなお前がヤナギちゃんの前ではこうなんだね」といった。
「ちょっと顔出しただけだけど来てみてよかったよ」という蕾に
「わたしも会えてよかったです」というヤナギ。
この幸せが続けばいいのだがそうもいかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。