第10話
「ヤナギ。お前の生い立ちを知りたくないか。」と聞くカシ。
「うん、教えてほしいです。ぜひ」という。
「正代さんを連れてきたよ」とマツ。
「どんな過去だとしても逃げない。私の育ててくれた人は私の見方だったから」ヤナギはこうつぶやいた。
「カシさん、私から話をしてもいいですか」と正代さんが言ってくださった。
「初めましてヤナギ様。あなたはやはり光子お嬢様にそっくりです。私は、あなたのお母様の執事をしていた正代というものです。
大学卒業を機に友人と旅行に出かけられたところから話を始めます。
広島で星野学という青年と出会い、お互いがひかれあったといっておられました。旅行から帰ってきたときお嬢様はすごく生き生きとしておられました。ある日結婚話を旦那様、お嬢様のお父さまが持ってきてその結婚話を断り切れなかったお嬢様は家出をしてしまいまして。
当時旦那様は自分の事業を伸ばそうと必死でした。それに旦那様の命令にもし背くものがいたら屋敷内から首になってしまいました。
それから家出をして1年たったある日、あなたのお父さんは手に職をつけるまで待っててくれるといってお嬢様を家に戻るように説得させたんです。その時にあなたの存在を知らず、戻ってきてしまわれたから、それからが大変でした。旦那様はお嬢様を監禁してどこにもいかれないようにしてしまい、そんなときです。あなたがおなかにいることがわかったのは。当時は中絶をすることは死刑が下るという時代でした。あなたを生んで育てる道を選んだ光子様が出ていかれることを決意してたんです。しかし旦那様はそれは許しませんでした。旦那様が子供を奪い孤児院に預けさせました。それから結婚した家でお嬢様は日常的に暴力を振るわれてました。
でもあなたのことをお嬢様は忘れていませんでした。たまにあったときなどはいつもあなたの話題でした。あの子は私にそっくりよ。あの子と暮らしたい。あの子の好きなものを作ってあげたいといっておられました。そして、私が帰るまで笑顔でいました。
そしてある日お嬢様が帰ってくるといって噂を聞いて屋敷に行きました。暴力を受け続けて変わり果てた姿で帰ってきたんです。
「俺が悪かった。光子すまない。もっと早く気づけばよかった」といわれて後悔しておられました。そして葬儀を済ませた後、従業員のお給料と新しい仕事を探して出て行かせた後、家や財産をすべて売り払ってしまいまして、そのお金を孤児院に寄付をしてしまいました。そして、私の家で暮らすように勧めると嬉しそうでした。
それから、畑とかのお仕事に精を出すようになってまるで人が変わったように優しくなられました。
亡くなる前日まであれほど元気でいらしたのに。と思いますが最後を私に看取られて息を引き取った時にいったことがあります。
もし光子の子供に会ったら、お母さんは立派な人だったと、どうしても恨みたいのなら私を恨みなさいといってほしい。それで少しでも心が楽になれるならいいからと伝えてくれとおっしゃれて。
「正代さん、私誰も恨みません。昔院長から、ヤナギ、おくるみの中にこれが入っていたといいペンダントをくれたんです。そして一通の手紙がこの子をいつか迎えに行きたい、それまでよろしく」と書いてありました。私は院長に育てられたこととても幸せでした。院長は夢を持つことの素晴らしさや人のいいところを伸ばしてくれるそんな人でした。私はそんな院長に見守られて育ったことを誇りに思います。」というヤナギ。
マツが君の父もお母さんを迎えに行きたかったんだってさ。もともと病弱で無理が重なって亡くなったって言ってたよこれが君の父の写真だよ」という。
「このお写真大切にします。私ここまで調べてくださって嬉しかったです。ありがとう」というヤナギにマツは「君はカシの惚れた女性だから、カシはヤナギさんが好きなんだと思う。俺がいっても照れるわ。だからカシの気持ちにこたえてあげて」というマツに「マツ。お前が暴露してどうするんだよ」というとマツは「俺は正代さんを紅葉さんたちのいるところに案内してくる。ごゆっくり」というとマツは出て行った。
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