第8話

東京に戻ってきたけど、雪野屋敷という大きな家を探す。

その屋敷は、今は違う人が住んでいた。

俺は探してる時に偶然にも当時執事をしていた人に会うことができた。「私は執事の正代というものです。当時は光子お嬢様を見守っていました。あの旅行から帰ってきたときお嬢様は生き生きとしておられました。所が旦那様に広島の星野様のことをとがめられて、一度家出をしておられたとき、子供ができたと知らずに帰ってきてしまわれて、大騒ぎになりまして、お嬢様は育てる覚悟をして家を出ていかれてました。ところが旦那様から戻ってこいと言われて戻るとほかのものと結婚を進めて子供は孤児院に預けてこいと言われ、それでもお嬢様は覚悟を決めて自分は手放さないといって家を出る覚悟でした。

困った旦那様は子供を奪いお手伝いにこの娘を孤児院に連れて行けと命令し、お手伝いは孤児院の前に置き去りました。」という。

旦那様の命令は絶対だったといった正代さん。

「しかしお嬢様は結婚した家で暴力を振るわれてたんです。暴力を受けても誰にも言わず、笑顔だけは失いませんでした。お嬢様は、今頃何をしてるんでしょうね。あの子はといって子供のことを心配してたのを覚えてるんです。

お嬢様は暴行され続けて、身体も衰弱してしまって、しまいにはひどい姿で亡くなったんです。というと正代さんはつらそうにしていた。

俺は驚きを隠せなかったが「その後どうなったのか知りたいんです」といった。正代さんは「その後、旦那様は全ての財産を破棄してしまい、財産のすべては恵まれない子供たちに寄付したんです。それが旦那様にできるつぐないだったのでしょう。そして旦那様は亡くなったんです」といった。

正代さんこの写真はその子供の写真かもしれないんですが、「お嬢様」というと、その写真を抱いて泣き始めた。しばらく落ち着くまで見守って「実はこの写真の人はヤナギさんといって昔、おくるみにくるまれて孤児院の前に置き去りにされてしまった人なのです。

そのおくるみに苗字があったらしくて雪野と書いてあったと孤児院の人に雪野 柳として育てられたそうです。

正代さんは「間違いないです。似てるんです。柳様に会いたい。会ってお嬢様はあなたを最後の最後まで思っていたといってあげたい」というので「そうですね」といった。

「かえってカシに報告をしますので」というと、「カシって、もしかしてあんた華麗組の人かい」というので「はいそうですけど」

すると正代さんは「私は紅葉の幼馴染でしてね。小さい頃は兄貴と慕われてたんですよ」といった。

「またご連絡します。」と伝えた。

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