第7話

広島で星野という人物を探すが、なかなか見つからない。

どうしよう。と嘆いたとき、老人が「あんた、どうかしたかのー。」という。「星野学」ってご存知ないですよねという。

「ああーその者なら16年も前に病気で亡くなったよ。ずっとある女性一筋だったよ。たしか光子と呼んでおったよ。わしはその星野学を今でも一番弟子だと思っておる。靴職人になって光子さんを必ず迎えに行くといってな」という。あのあんたの名前は?と聞くと、「わしの名は一徹という。元八木組の側近じゃった。今は引退して靴を作っておる。あんたは華麗組の側近じゃないのかな、ヒイラギ坊ちゃんは元気か。」「組長を知っておられるんですか。私は元ヒイラギさんの側近でした。でも今は情報屋です」と伝える。

「なるほど、カシのパートナか」

「あの一徹さん、その光子という女性はどこにいるとか聞いたことありますか。」

「そういえばお嬢様だったと聞いたことがあるな。」といわれた。

「雪野」というと、「東京にある雪野屋敷じゃな。わしらの時代は雪野屋敷は有名だったんだよ。学はそこのお嬢様とな。」という。

その学さんのお墓とかってあるのと聞いてみた。無縁仏じゃというと「かなしいの。もっと早く気づいてたらこんなことにならんかったのにのー。もともと身体が弱くて、無理をさせてしまったわい」という一徹さん。「そうなんですか?子供を抱かせてあげたかったんですけど」というと一徹さんが驚いて「おるのか。子供が」といった。

「ええー今きれいなお嬢さんですよ」と写真をみせてみた。

「そっか。きれいだな。たぶん学は知らなかったと思うが。」というと、学の写真だといって見せてくれた。俺は写真を預かったと同時に広島を後にした。

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