第6話

「カシ、ヤナギさんって親がいないってことは確かだよ。身元が全然わからなくてね」というマツ。

「親戚とかいるかもしれないから、しらべてくれないか」というと、

「わかったよ。でも知ってどうするの」と言われ、俺は、何か事情があったに違いないんだが、なんでヤナギを孤児院に置き去りにしたのか気になるんだよ。雪野っておくるみにくるまれてたって聞いたんだよ。ヤナギというのは育ての親につけてもらったらしいぞ」という俺。

「カシ、やっぱりお前は情報屋だな。そこまで彼女のこと調べてるなんて」とマツはいう。

そして一週間たったある日マツは、ヤナギの今の写真を持って調べてると、写真の女性を私知ってるかもという人物が現れた。

私は写楽 公子(しゃらく きみこ)というものよ。

その女性は雪野 光子(ゆきの みつこ)じゃないかしら。

似てるんですか。その光子という女性にと聞くマツに。

私は彼女と学生時代とても仲が良かったの。光子はね。ピアノが得意だったの。いつか子供たちにピアノを聞かせてあげたいって語ったの。卒業間近にいった旅行で彼氏ができてね。その人の名前が星野学っていう普通の青年だったわ。二人は恋に落ちたわ。でもその後のことはわからないんだけど、光子はお嬢様だったから結婚を許してもらえなかったとかで家を飛び出してね。その後どうなったかわからないの。」という。

「この写真の女性はヤナギさんといって、これは今の写真なんですけどそっくりなんですか。」と聞く。

「ええ。そうなの?でも本当に光子だよ」という写楽さん。

「あの、その男性がどこに住んでるとかもわかりませんか?」と聞くと「旅行先が広島だったけど。なんかそのあたりに住んでるみたいなことを聞いたけど」と教えてくれた。

「ありがとうございます」とお礼をいった。

俺は広島にとんだ。

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