第83話

「まぁ、付き合っていくうちに好きになってくれるんじゃない?」




里恵子はこめかみを押さえながら私に向かって呆れた声を出す。



本気で呆れたと言いたそう。





「付き合ってない……」



「はぁっ!?」




ぼそっと言うと、里恵子は口を開けたまま固まった。



付き合ってない、であってるよね?



涼はあの後付き合おうなんて言わなかったし……。





「あ、あなたね……バッカじゃないの!?」




「え、だって……」




「だってじゃないわよ!!付き合ってもいない他の女が好きな男と何してんのよっ……!!!」




里恵子は一気に捲し立てると体を震わせながら叫んだ。




よっぽどショッキングだったのか、唇をわなわなと震わせて肩で息をしてる。




確かにそうだ……。




私、何やってるんだろ……。




目頭が熱くなる。

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