第82話

「ふーん。なるほどね。それで?ユッキーは篠田君のことが好きなのよね?」




里恵子が核心をついてくる。




「……うん」




私は目を伏せて頷いた。




「で、向こうもユッキーのことが好きなんでしょ?」




里恵子は爪を弄りながら私の顔を見る。



そんな里恵子に苦笑いを返す。




「ううん。好きじゃないと思う」




涼は好きな人がいると言った。



その人に告白したって言ってたんだもん……。



私ではないと思う。




「……は?好きって言われたんじゃないの?」



「ううん。言ってない。好きな人がいるらしいし……」




目を見開いた里恵子に俯きながら答える。




「何やってんのよ。あなたは」




里恵子はそんな私に深いため息をつく。

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