第65話

「良かった…。隣にいて。目が覚めたら祐希が隣にいなかったら…って不安だったんだ」




そう言って頭を撫でてくれる。



素直にその腕の中で甘えながら涼の顔を見つめる。




「どうしてそう思ったの…?」



「俺、最低なことをしたから」



「…………」



「大事にしてあげたかったのに…。ごめん」




消え入りそうな声でそう言った涼は、眉間に皺を寄せて今にも泣きそうな顔をしていて……。



涼にこんな悲しい顔をさせてしまっているのは私なんだと思うと、罪悪感で悲しい気持ちでいっぱいになる。




涼もこんな気持ちでいるのかな……?




涼には好きな人がいて、今までずっとその人のことを思ってきたのに。




それなのに…。



私と愛の無い行為をしてしまった。




悪いのは私なのに。




優しい涼は、後悔しているのかな……?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る