お姫様

第64話

目を開けるとベッドの中だった━━。



辺りはまだ真っ暗で月の淡い光りだけが部屋の中へ入ってくる。




ふっと横をみると涼が寝ていて、腕枕をしてくれていた。




涼の寝顔を見るのも何年ぶりだろう?



子供の頃とあまり変わってない。




でも、子供の頃とは違って……



今、私たちは何も身に付けていない。




私、涼と本当にしちゃったんだ……。



そう実感した。




あの頃のような今までの幼馴染みにはもう戻れない……。




涼は目が覚めた後、どんな態度を取るんだろう……?



冷たくされたりしないよね…?



少し不安になった。




寝ている涼の髪にそっと触れる。




「ん、ゆき……?」




涼はゆっくりと目をあけて私の名前を呼んだ。




「あ…ごめんね?起こしちゃった?」




慌てて手を引っ込める。




涼は目を細めて私を横から力強く抱き締めた。

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