第63話

「祐希……」




涼は優しく私に触れてくる。




何度も何度も私の名前を愛しそうに呼んで、慈しむように私の肌に赤い痕を残していく。




私の体にキスを落としていく涼の切なげな顔を見ていると…




本当に愛のある行為だと錯覚さえしてしまう。




それが凄く切なくて涙が零れた。



自分で決めたことなのに罪悪感でいっぱいになる。




この行為は本当は愛がないんだと思うと悲しくなる。




涼は……顔も、性格も、昔とあまり変わらない。




でも……。




制服を脱ぎ捨てて露になったその体は“男の子”じゃなくて、もう“男”で。




切なく私を見下ろす顔も



私の名前を呼ぶ掠れた声も



痺れるようなこの甘い快感も




全部が初めてで……。




本当にもう今までの幼なじみに戻れなくなるんだ。




そう実感した。




「痛っ……」




繋がった痛さに唇を噛み締める。




でも、涼と1つになれたことが嬉しくて幸せだった。




初めて経験するその行為は……。



痛くて、甘くて、凄く切なかった──。

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