第57話

このまま涼のことが好きって言っちゃおうかな?と思った。




でも……。



涼には好きな人がいる。



今、涼に気持ちを伝えても答えは決まってる。




私は涼を失うのが怖いんだ。




言ってしまったらもう傍にいられなくなりそうで……。




私はどうしても涼に自分の気持ちを言うことが出来なかった。




涼は俯いたまま私を見ようともしない。




悲しくて涙が溢れてくる。




「泣いてるの…?」




私が泣いていることに気づいて、涼は直ぐに顔を上げて頬に伝った涙を指で拭ってくれた。



そして、そのまま何も言わずにいつもと同じように頭を撫でてくれる。




涼は……いつも優しい。



哀しいときは慰めてくれて、ただの幼なじみの私をこんなに大事にしてくれてる。



でも、彼女が出来たらもう……。



私のことなんか見てくれない。




息もできないくらい、心の中が苦しさでいっぱいになる。




涼のことを繋ぎ止めるには……



繋ぎ止めるにはどうしたらいい?




どうすれば…、このまま傍にいてくれる?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る