第56話
そう思ったら胸が苦しさでいっぱいになった。
今まで……涼が傍にいるのが当たり前だった。
何の根拠も無いのに勝手に思い込んでた。
涼は私の隣にずっといてくれるって。
でも、そんなの私の勘違いだった。
涼は私以外の女の子の隣に行っちゃうんだ。
好きな子の隣に……。
そんなの嫌だよ。
涼が傍にいなくなっちゃうなんて嫌だ。
「祐希は?好きな人…いるの?」
今度は逆に涼から質問された。
「……いるよ」
少しだけ迷った末に伏し目がちに頷く。
涼だよ。涼が好き。って言ってしまいたい。
でも、涼には好きな人がいるんだもん。
言っても困らせるだけだ……。
それに、はっきりと振られるのが怖くて言えそうもない。
もう泣きそうになってきた。
「それって…健?」
健……!?
思っても見なかった人物の名をあげられて驚きに目を見開く。
「やっぱり…健なんだ?」
驚きすぎて固まってたら、肯定していると捉えたのか涼は私から目を逸らして俯いた。
「違う…!私が好きなのは健じゃない」
慌てて否定の言葉を繋ぐ。
私が好きのは涼なのに。
涼が大好きなのに……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます