第55話

涼と視線がぶつかって胸がドキンと音を立てる。



高校生になった涼は昔よりも更にカッコ良くなって、凄くモテるようになった。




それでも涼に彼女がいるって話は聞かないし、告白されても断るから安心してたけど……。



それって好きな人がいるから…とか?




今までずっと傍にいたけど、涼の好きな人って聞いたことがない。




「涼はさ…、好きな子とかいるの?」




急に不安になった私は率直に涼に聞いた。



そんな子いないよ、と言って欲しくて。



でも……。




「……いるよ」




涼は静かにそう言って私から目を逸らす。




涼、好きな人がいるんだ……。




誰だろう?涼の好きな子……。私の知ってる子?




胸がチクっと痛む。




「その子に告白するの?」



「……したよ。その子の返事待ち」




恐る恐る聞くと涼は私に視線を戻してキッパリと言った。



モヤモヤしていた心が更に曇っていく。




そっか。涼、その子に告白したんだ?



ますます悲しくなる。



もし、涼がその子と付き合ったら……



こうして会うことも



頭を撫でて貰うことも



手を繋ぐことも



もう何も出来ないんだ……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る