第54話

私達はゲームに熱中した。



楽しい時間がどんどん過ぎていく。



涼は昔からゲームが強い。



案の定、私はなかなか勝てなくて。



拗ねる私を涼が宥めてくる。





「酷ーい!どうして涼に勝てないの?」



「そんな顔しないで?ちょっと休憩しなよ。ね?」



「コンピューターが涼の味方するっ…!」




もう床に座っているのもダルくなって、ベッドに寝転がって頬っぺたを膨らまして不貞腐れた。



子供みたいだけど……。




「拗ねてるの?」




涼はクスクスっと笑ってそんな私の顔を覗き込んでくる。



昔と変わらない笑顔で。




「拗ねてなんか……」




そんな風に笑う涼に言い返そうと顔を上げたら、ふっと涼の唇が目に映った。




私、涼とキスしたことあるんだよね……?



子供の頃だけど。




高校生になった今の涼はどんなキスをするんだろう…?



って……




「ダメダメ。私、何考えてるんだろ……っ」




頭を横に振って1人でぶつぶつ呟く私を涼は不思議そうな顔で見てくる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る