第49話

ドアが閉まった他の部屋を見渡す。



美雪たち5号室にいるって言ってたっけ?



探して見よう……。




廊下を歩きながら美雪がいる5号室を探す。



5号室、5号室……。あった。




5と数字が掛かれている部屋を見つけてドアノブに手を掛ける。




「何やってんだ?」




その瞬間、急に背後から声を掛けられた。



振り返るとそこに居たのは健で。



健は私と目が合うと不機嫌そうに顔を顰めた。





「あ、美雪に用事があって……」




不機嫌そうにする健が怖くて小さな声で呟く。



何を怒ってるんだろう……?



健ってば、ここに来た時から何か変だ。



来る前までは機嫌が良さそうだったのに……。





「あっそ。用事な」



「……うん」



「へぇー……」





怒る健が怖くておどおどしてたら、健は苛立たしげに舌打ちをして私を壁に押し付けた。




手首をギリギリと掴み、眉間に皺を寄せて私を睨んでくる。



凄い力で押さえつけられているせいで身動き出来ない。




「俺もお前に用事があんだよ」



「な、何…?」



「さっきのお礼くれねぇ?」



「……え?お礼?」




お礼……?



確かにあげるって言ったけど…。

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