第43話

助かった……。



ホッと胸をなで下ろす。



健が来なかったら危なかった…。




「うわぁぁーん!健…ありがとっ……」




さっきまで掴まれていた腕を擦りながら健に抱きつく。




「お前さ……」




健はそんな私を真っ直ぐ見つめて眉間に皺を寄せた。




やばい。キ、キレられるっ……。



そう思った私はギュっと目を瞑った。




「……気をつけろよな?」




でも、健はキレることもなく、小さくため息をつきながら私の頭にポンっと右手を乗せた。




予想とは全然違う反応。



恐る恐る目を開けて健の顔を見上げると、優しい瞳と目が合った。




「バーカ。次からは気をつけろって言ってんだよ。危なっかしくて面倒見きれねぇし」




健はそう言って小さく笑った。




そんな健の笑顔に少しだけ……



本当に少しだけだけど……



ドキドキした。

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