第42話
「は、離して……」
両足で踏ん張ってみたけど、男の子の力には全然敵わない。
抵抗も虚しくズルズルと路地裏まで引きずられていく。
やだ……。誰か助けて…?
そう思ったとき……
「お前、何やってんだ?」
よく見知ったハスキーボイスが聞こえた。
その声に泣きそうになるくらいホッとする。
2人組はチラッと目配せをすると眉間に皺を寄せて声の主の方に振り向いた。
「あ?なんだお前?」
「邪魔すんじゃねぇよ」
そこには不思議そうに私を見る健が立っていた。
私の腕を掴む2人組と私を交互にジロジロ見てる。
「……助かった」
「おい。まだ助けるなんて俺言ってねぇけど?」
「えぇー?助けてくれないのー?」
いつもみたいに助けてくれると思ってたのに……。
私の安心を返してー!
「お、おい。こいつ…魔王じゃね?」
「あぁ、魔王だ……」
健の顔を見た2人組は私の腕を離して、顔色を変えて後ずさりをする。
健、やっぱり顔が広いんだ?喧嘩強いもんね。
「だったらなんだ?魔界に引きずりこまれたくなかったらさっさと失せろ。クソが」
健は苛立った声で凄むと2人組を睨んだ。
恐っ…。石化しちゃいそうだよ。
「は、はい。すみませんでした」
2人組はお互いに目配せをし合うとそう叫んであっさりと走り去っていった。
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