第44話

暖かい気持ちで胸がいっぱいになる。



健はいつもこうなんだ。



普段は意地悪だけど本当は凄く優しいの。




昔からこうやって私が困っているときに現れてなんだかんだ言っても結局助けてくれるんだから。




ホント、健は昔から私の………




「"ヒーロー"だろ?」



「え?」



「健は私のヒーローだよ。だろ?」




健はそう呟いて昔と変わらない笑顔でニカっと笑った。




「どうしてわかったの!?」




健に言いたかったことを当てられて素直に驚く。




「わかるに決まってんだろ?毎回お前言ってたし。何回目だよ。こーいうの」




健はそう言って呆れた顔をする。




「だって……」




ほっぺたを膨らました私に健は吹き出した。




「はははっ。拗ねんなって。またピンチの時には正義の味方が助けに来てやっから」




そう言って健は眩しい笑顔を私に向けた。



健はやっぱり魔王なんかじゃなくてヒーローだよ。



悪者はそんな爽やかな笑い方出来ないんだから。




「ありがと…!今度何かお礼するね?」




いつも助けて貰ってるし、何かお礼しなきゃ。

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