第38話
なに…!?今のはいったい何?
健、私にキスをしようとしてなかった?
またいつもの冗談?
「祐希…?どうしたの?健が来てたみたいだけど……」
開けっぱなしだったドアに手を掛けて涼が部屋の外から顔を覗かせた。
何か答えなきゃ、と思うのに言葉が見つからない。
「祐希……?」
涼は何も答えないままベットの上で放心状態でいる私を見て、不思議そうな顔をしてる。
な、何か答えなきゃ。
「どうしたの?健に何か…された?」
涼は部屋の中に入ってきて、座り込んだままの私のことを抱き締めてくれた。
どうしよう?
さっきのことを言ったら、涼にまた心配を掛けちゃうだけだし…。
「何も……。怖い夢を見ただけだよ。健、来てたんだね?気づかなかった……」
私は心配をかけたくなくて涼に嘘をついた。
「そっか……」
涼は少し複雑そうな表情を浮かべたけど、それ以上何も言わないで私を暫く抱き締めてくれた。
涼に抱き締められたことにドキドキしながら……
その温もりが心地良くて、私は涼の胸の中で逃げるように目を伏せた──。
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