第33話

涼が近くて緊張する…。



心臓の音が聞こえちゃいそうで怖いよ。




子供の頃はギュッと抱き締められながら寝てもドキドキなんてしなかったのに。




最近の涼は私のことをドキドキさせてばっかりだ…。




「祐希……そんなに端にいて狭くない?」



「ひぁっ……」




急に涼が声を掛けるから凄くビックリした。



ビックリしすぎて思わず変な声が出ちゃったよ。




「……心配しなくても何もしないから。もう少しこっちにおいで?」



「えっと……大丈夫」




ダメだ。これ以上傍に行くのは恥ずかしすぎる。



確かに狭いけど、これ以上近づくと肩が当たっちゃうもん。



そっちの方が大丈夫じゃないよ。




「それならいいけど……」




ガチガチに固まった私を見て涼はため息をついてる。




ダメだ。もう寝たふりをしよう。




「久しぶりだね?一緒に寝るの」




涼のことを無視して目を瞑って狸寝入りをする。




もう寝たと思って、涼も寝て欲しい。



起きられてたら余計意識しちゃうよ。




「祐希…?もう寝たの?」




寝た。寝たから涼も寝て……。

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