第32話

「えっと……」



「冗談。ビックリした?」



「えっ?冗談…?」




あ、なんだ。冗談だったんだ。



そりゃそうだよね?



4、5年前までは一緒に寝てたんだもん。



ちょっと…いや、かなり本気にしちゃったけど……。




「ごめんね?もう寝よっか?」




涼はいつもの優しい表情を浮かべて、あたふたしている私の頭を撫でてくれる。



そして…ニッコリ笑うと部屋の電気を消して、そのままベッドに寝転がってしまった。




やっぱり一緒に寝るんだ?



自分が言い出したことだけど……。



さっきの言葉を思い出してドキドキしちゃってベッドに入りづらいよ……。




「どうしたの?寝ないの?」




ベッドの前で突っ立っている私に涼は不思議そうな顔を向けてくる。




このままフリーズしてたら涼に変に思われちゃう。



それに一緒に寝るのは嬉しい…。



もう、いいや!



早く寝ちゃえばいい。




「ね、寝るよ?」




緊張してドキドキしている心臓にエールを送りながら私は涼の隣に寝転がった。

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