王子様
第27話
「祐希、起きて……」
涼の声が聞こえる。
小さく体を揺らされて、私はゆっくりと目を開けた。
私…、いつの間にか寝ちゃってたんだ。
「んー。起きた」
ボヤけた視界がクリアになり、視界いっぱいにシンプルな落ち着いた部屋の風景が広がる。
ゆっくり体を起こすと暖かい布団に包まれていた。
「おはよう」
涼は起きたばかりの私にキラキラとした眩しい笑顔を向けてくる。
眩しい……。朝日よりも眩しいっ。
思わず目が眩んじゃうよ。
ってあれ?私、ベッドで寝てたっけ?
確かリビングでDVDを見ていたはず…。
「ねぇ、私…どうして涼の部屋にいるの?」
「うん?リビングで寝ちゃったから俺が部屋まで運んだ」
「え?運んだって……」
涼が私を1階のリビングから2階の涼の部屋に?
その華奢な体で!?
「……重くなかった?」
遠慮がちにボソっと呟くと涼は優しく微笑んだ。
「全然。そんなこと心配しなくていいよ」
「あ、ありがとう……」
いろんな意味で。
涼に真っ直ぐ見つめられて、恥ずかしくなった私は布団を鼻の辺りまでずり上げた。
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