第26話

涼と手を繋ぐのは久々だ。



最近2人で出掛けたりしてなかったし。




涼は2人で出掛けた時はいつも私と手を繋いで歩いてくれる。



『祐希、危なっかしいから』って笑って。




恋人同士になったみたいで、いつもちょっとドキドキしちゃうんだ。




なんだか……涼の手、少し大きくなった気がする。




私より低くかった身長もいつのまにか私を通り越して、今は少し見上げなきゃいけないようになった。




涼も男の子だもんね。



そう実感する。




涼の手をギュっと握り返す。



嬉しいって気持ちが伝わればいいのになぁ…と思って。




涼は繋がれた手に一度視線を落とすと、顔を上げて私にニッコリと微笑みかけてくれた。




それが気持ちが伝わったみたいで嬉しくなる。




涼のおかげで、あんなに怖かった映画の内容も頭に入らなくて。




涼の手の温もりに安心した私はそのまま眠ってしまった──。

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