第25話

「りょう?」



「怖いの?」




涼はまた遠慮がちに私に声を掛けてくる。




そんなの怖いに決まってる。



怖すぎだよっ……!!!




「思っていたよ…り……?」




顔を上げた瞬間、心の底から驚いた。



涼の顔が凄く至近距離にある。




「えっ。ど、どうしてそんなに近いの?」




目の前に涼の顔があって思わず顔が熱くなる。




真っ直ぐ見つめられて視線が外せない。




暗くて良かった。



明るかったら顔が真っ赤になっているのがバレバレだよっ……。




「どうして…って、祐希が俺の腕に……」




涼の…腕……?



涼に言われてパッと視線を下げる。



私は涼の右腕にガッチリと腕を絡ませていた。




「ご、ごめんねっ」




慌てて抱き締めていた涼の右腕を離す。




私ったら今まで涼の腕にしがみついてたの?



やだ。恥ずかしいっ。




「いや、いいんだ」




涼はクスっと笑って私の左手を取って手を繋いでくれた。




「涼……?」



「これで少しは怖いの…マシかな?」




困惑していた私に涼はそう言って微笑んでくる。

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