第23話

えぇっ!?当たり前なの?



目が悪くなるだけじゃないの?



疑問でいっぱいになる。



ホラー映画なんて好き好んで観たことがないから、わからない……。




「電気はつけておこうよ?」




凍りつく私に気づいた涼が気を使って部屋の電気に手を伸ばす。




涼、優しい…。




「は?雰囲気ぶち壊すなって」




感動で胸がいっぱいになっていた私を健が奈落の底へ突き落とす。




健め……!本気で魔王だよ。




ソファの背もたれに腕を投げ出して、王様のようにふんぞり返っている健を思わず睨む。




「健、祐希が怖がってるだろ?」




涼がムッとした顔を健に向ける。




おっと、2人が喧嘩なんてしたら険悪なムードになっちゃう。




「い、いいの」




私はソファから立ち上がって涼の腕を引いた。




「でも……」




涼は私の顔を心配そうに見つめてくる。




カッコイイ……じゃなくて!



雰囲気を壊しちゃいけないし、私が我慢すればそれでいい。



ホラー映画は電気を消すものらしいし……。




「私なら大丈夫だから」



「……わかった。怖くなったら言いなよ?」




健の言葉を鵜呑みにした私がそう言うと、涼は渋々私の隣に腰を下ろした。

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