第21話

健が1人暮らし…。



想像するだけで大変そう。



几帳面な涼は家事も全部1人でこなしてるけど、大雑把な性格の健が1人暮らしなんてしたら家の中がゴミ屋敷になりそうだ。




いつもオバさんが健の部屋を掃除する度に『まったく。だらしのない』と、ボヤいていたのを思い出す。




「じゃあ、あたしが通い妻してあげるー!!」




何も知らない美雪は、健の横に腰を下ろして無邪気な笑顔を振り撒いてるし…。




美雪……、頑張れ。




そう心の中で呟きながら、私は美雪と健が借りてきたDVDを袋から全部取り出した。




「……え?」




思わず乾いた声が出る。




借りてきたDVDは3枚。



その3枚全て……。




「ど、どうして全部ホラー映画なの?」




明らかにホラー映画としか思えないタイトルを見てガックリと肩を落とす。




「たまにはいいじゃん。ね?」



「う、うん……」




美雪は落ち込む私の肩をポンポンと叩いた。




もう。私はホラー映画も心霊番組も怖い話も全て苦手なのに…!



美雪も健もそれを知っているのに意地悪だ。




「祐希……。見るのやめる?」




涼が落ち込んでいた私の顔を心配そうに覗き込む。

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