第17話

そのまま腕を引かれて涼の胸の中に抱き寄せられる。




「……涼?」




突然の出来事に頭がついていかない。




え、私どうして抱き締められてるの?



ってかここ学校……。




確かに今は授業中だし、誰も通らない。



通らない……けど、恥ずかしい。




「暫く…このままでいさせて?」




涼はあたふたしている私を逃がさないと言わんばかりに、さらに力強く抱き締める。




「……うん」




恥ずかしいとはいえ、涼に抱き締められたのが嬉しくて私は素直に頷いた。




そういえば、昔も私が泣く度に抱き締めて慰めてくれてたっけ……?




大好きな涼に抱き締められて、いつも嬉しかった思い出がある。




年を重ねるごとにそれも減っていって、こうやって抱き締められるのは小学生以来かも。



懐かしいなぁ…。




涼は私の幼なじみで、16年間の付き合いで……。



顔だって昔の面影が残ってて、今も女の子みたいに可愛い。



抱き締め方だって変わってない。




でも、子供の頃とは違って涼の胸の中は意外と広くて……。





凄くドキドキした──。

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