第16話
「いいんだ。それより大丈夫?」
涼の心配そうな顔が目に映る。
怒ってるんじゃなくて心配してくれてたんだ?
本当に涼はいつも優しいなぁ…。
これ以上心配させちゃダメだし、笑わなきゃ。
そう思うのに涙は次から次へと零れ落ちていく。
「……祐希」
「あ、ごめんね?大丈夫だから」
涼に心配を掛けちゃダメ。泣き止まなきゃ。
そう強く思うのに息を止めても唇を噛み締めても涙は止まってくれない。
「泣かないで…。健には俺が後で注意しておくから」
私の頬に伝う涙をそっと指で拭うと、涼は唇を噛み締めて悲しそうに眉を寄せた。
そんな涼の顔を見て胸がギュっと締めつけられる。
涼は私のことを大事にしてくれているのに……。
それなのに、私は涼に辛い顔をさせて何やってるんだろう。
「うん。ゴメンね?もう大丈夫だから……」
ゆるゆると口角を上げて笑うと涼は目を細めた。
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