第10話

いつも優しくてカッコ良くて、幼なじみの私のことを大事にしてくれて……。



泣いたら飛んで来てくれて、女の子と遊びで絶対に付き合ったりしない。




そんな涼が大好きなの。




「祐希……」




私の肩を美雪が遠慮がちに優しく叩く。



そして、ぎこちない笑顔を浮かべながら私の背後に指を向けた。




「え?なに?」



「誰が遊び人だって?」




後ろを振り向こうとした私の頭上からハスキーボイスが降ってくる。




この邪悪なオーラを漂わす人物は1人しかいない。




恐る恐る振り返ると、怖いくらいに笑顔な健が立っていた。




「いや、その……」




笑顔の健から放たれるドス黒いオーラに狼狽える。




やばい。かなり怒ってる。




「随分と俺のことを褒めてくれてたみたいだな?」



「えっと……」




健の放つドス黒いオーラに思わず怯みそうになる。




下手なことを言えば健の苛立ちを煽るだけだし、かと言って黙っていると余計に怒りを買いそうだし……。




口をパクパクさせて怯える私に健は小さくため息をついた。

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