第9話

首を横に振って呆れる私に美雪は苦笑いを向けてきた。




「魔王、ほんとカッコイイもんね。あたしとも付き合ってくれないかな~?」




目をキラキラと輝かせながら健を見つめる美雪。



私は美雪の肩に手を置いて真剣な顔を浮かべた。




「健は遊び人だし、付き合ったら美雪が苦労すると思うよ?」




美雪は“健の彼女になりたい”って言うけど、健は涼とは違って来るもの拒まず……の遊び人だし。




今思えば幼稚園のときには、もうプレイボーイだった気がする。




『僕の彼女ー!』なんて言って子供の頃から女の子を連れて歩いてたっけ?




でも、彼女が出来てもすぐに別れちゃうんだよなぁ……。




いつもすぐに別れて、付き合っての繰り返し。



それどころか一度に何人もの女の子と付き合ったり、彼女でもない女の子と……。




健の恋愛経歴を思い出して思わずため息が出た。




「そんなこと言って…実は祐希が魔王のことが好きだったりして」




美雪は心配する私の心境に気づかずに、ニヤケながら私の脇腹を肘で突っついてくる。




「ち、違うよ!!私は健みたいな遊び人じゃなくて……」




涼が好き。

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