第8話

2年生の教室が並ぶ校舎の3階を3人で歩く。




用意が終わって、再びリビングに戻ったら……やっぱり健は怒ってた。




冷や汗が流れる中、それでも今日見た夢の話を健に正直に言えるわけもなく……。



結局、涼が見兼ねて苛立ちが増していく健を宥(なだ)めてくれた。




そういう場面を見る度に、健と涼は火と水だなぁ……って思う。




熱くなると止まらない健を止められるのは、優しくて冷静な涼だけだもん。




「祐希ー!おはよっ」



「うんっ。おはよう」




2年2組の教室に入った瞬間に、芦田 美雪(アシダ ミユキ)が私に抱きついてきた




朝からハイテンションで、黒髪のポニーテールを揺らす美雪は1年の頃から仲がいい私の友達。




派手じゃないけど、グレーのチェックのスカートは膝上20㎝くらいまで上げてる。




「今日も朝から王子と魔王のギャラリーは凄いね~」




教室に入った瞬間に女の子に囲まれてしまった涼と健を見て、美雪はため息をつく。




そう。涼と健はとにかくモテる。



毎朝教室の中に入った瞬間に2人は女の子に囲まれちゃう。



2人とも頻繁に告白されているみたいだし。




涼は告白をされても毎回断っているみたいだけど……。




誰かに呼び出される度に、涼に彼女が出来ちゃうんじゃないかって憂鬱になっちゃうよ。

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