第6話

ファーストキスと言えば、今日キスされちゃった夢を見たっけ?




確か夢の中で私は誰かに頭を撫でられてて……。



『心地いいなぁ…』なんて幸せな気分に浸ってたら、その人にキスをされた。




顔がボヤけて相手はわからなかったけど、いやにリアルで起きた時に凄く心臓がドキドキしてた。




どうせなら相手が涼だったら良かったのに……。




「お前、顔赤いぞ?」



「え?そう?」




健に怪訝そうな顔で見つめられた私は、惚けながらコップに注いだお茶を一気に喉に流し込んだ。




やばいやばい。自分の世界に入り込んでたよ。




「熱あんじゃねぇ?」



「違うよ。ただ、今日見た……」




そこまで言って途中まで出ていた言葉を飲み込む。




危ない、危ない。私、何をバカ正直に言おうとしてるんだろう。




今日見た夢の話なんかしたら、健のことだから『ただの欲求不満じゃね?』なんて笑いのネタにするだけだし。



黙っとこう……。




「今日見た……なんだよ?」




と思ったのに、健は私の顔を覗き込んで強い口調で尋ねてくる。

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