第5話

「んなことより、さっさと食べろよ」



「あ、ごめん。いただきます」




健に小突かれて慌ててお茶碗に手を伸ばす。




お兄ちゃんのことに気を取られている場合じゃなかった。




早く食べなきゃ遅刻するし、遅刻なんかしたら2人に申し訳ない。



そう思いながらも、お味噌汁を食べながらソファに座る涼の顔をチラっと覗く。




頬杖をついてテレビをボーっと見ているだけなのに、その横顔がカッコ良すぎて目が離せなくなる。




涼は私のファーストキスの相手で私の好きな人。




今思えば、こんなカッコいい素敵な王子様と幼なじみな上に、キスまでしちゃったなんて美味しすぎるよね……。




ここに家を建ててくれたパパとママに、感謝の気持ちでいっぱいになるよ。




もし幼なじみじゃなかったら、きっと雲の上の手の届かない人で、キスどころか話すことすら出来なかったかも知れないもん。




涼は覚えてるのかな?



ファーストキス……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る