第4話

って、そんなことより早く朝ご飯食べなきゃ。




「ごめーん。すぐに朝ご飯食べちゃうから」



「ったく。早くしろよ」




眉間に皺を寄せてぶつぶつ文句を言う健に急かされて、私は慌ててダイニングのイスに座った。




テーブルにはいつも通り朝ご飯が用意されている。




だけど、いつもならそこで『あら?起きたの?』なんてハートを飛ばしそうな勢いでお母さんが飛んでくるはずなのに、今日は姿が見えない。




「お母さんは~?」



「あぁ、オバサンは裕也起こしにかかってるよ」



「あぁ~なるほど」




お箸を手に取って小さく頷く。




7歳年上の化粧品会社に勤めているお兄ちゃんは、会社が近いからって朝はギリギリまで寝ていることが多い。




で、その度にお母さんが起こしにかかる羽目になっている。




お兄ちゃんも、いい加減25歳になってまでお母さんに起こして貰っていないで、自分で起きれるようになればいいのに…。




情けなくてため息が出るよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る