第70話

あれから、幸人を連れて帰ってきた。幸人と呼ぶ俺に弘紀どうしたのと聞いてきた。どうしてうちに来た。そしてお前がなんで叩かれなきゃならないんだよというと、弘紀が手を出してないか心配だった。僕は手は出さないって決めてるし、叩かれても仕方ないと思ったからね。僕は障がいを持って生まれてきたことに変わりはない。これまでも世の中の差別や偏見というものがあった。これからもそれはある。だけど、人を傷つけたりとかはしたくない。痛い思いをするのも辛い思いをするのもみじめな思いをするのも僕だけでいい。だけど悪いのは僕じゃないと分かってくれる人が一人でもいればいいの。というと、弘紀、君は僕のそういうことがわかっていても離れないっていってくれた。そんな君が好きなんだ。だからというと、弘紀。僕怖かった。君と離れ離れになるのが怖かった。よかった。ならなくてという幸人。俺はその笑顔にほっとした。

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