カシの恋物語
第53話
やがて春がきて暖かくなってきた。4月下旬。
今日は、仕事でカシの所に行く。
すると、カシが「タツキ、今日は情報はいいですが、少しお話をしましょう」という。
「カシはなんで独身なの?」と聞く。
「また急にそんな話になるんですか。わかりました。聞きたいなら話します」とカシ
「私は実は昔お付き合いしてた人がいます。柳(ヤナギ)というそれは雪のような静かな人で、出会いは行きつけのバーでした。性格も気立てもよく彼女は情報屋の私を支えていました。でも彼女は身体が弱く風邪をこじらせて肺炎で亡くなりました。それで私は彼女以外に理解者はいないと思い独身を貫いてるのです」と切なそうにいう。
「そうだったんだね。カシ、ゴメン。つらい話聞いて」というと
「いいえ懐かしいんですよ。ヤナギはたのしいひと時を覚えてる人だったんですよ。命日よりも誕生日をと死ぬ間際に言ってましたし、本当に楽しい思い出しかないですね。ヤナギとは。」というとカシはかけてあったペンダントを取り出し、中を開けると写真が「これがヤナギです」というときれいな笑顔で笑ってるヤナギさんが写っていた。「私はこれを肌身に離さず持ってるので寂しくないですよ」という。
「ヤナギさんはきっとカシといて幸せだったんだよ」というと、カシは「そうですね」としばらく思い出に浸っていた。
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