遺言書
第7話
「カシさん、これは父からあなたに手紙です。父はこの日が来ることを最初からわかってたのだと思います。秘密だと言われていたので誰にも言わず黙っておいたのですが、父は好物である羊羹の事を私と父の友人であるあなたにしか教えなかったそうです。 だから羊羹が好物であることを知ってるのは私とあなたしかいない。もし父と仕事をしていて、私の好物を言い当てる人と出会ったら、これを見せるようにと父から言われておりました。」
そういうと最小限の荷物から父からの手紙を出し、カシさんに渡した。手紙にはこう書いてあった。
信頼してる私の尊敬する友へ。
この手紙がお前に渡ってるということは娘を助けてくれたんだな。娘は大きくなってると思うが、私のかわいい娘だ。妻が何かをするのには私に責任がある。だから妻を責めないでやってほしい。樹、お前の大きくなった姿を見てやれない私を許してくれ。
父としてお前の成長を見れないのは残念だが、天国でいつもお前を見守ってるからな。これだけは言える。私はお前をずっと愛してる。カシ娘を頼む」それをカシが読み私が聞いてると自然と涙があふれた。
「あなたは父に愛されてたようですね。あなたがマツの娘であることは見た途端わかりました。あなたは父親にそっくりなんです。ここは昔、あなたの父と私が事務所を開いたところになりますが、ここは私とあなたの秘密の場所です。だから誰にも言わないでください。実は、ある屋敷に雇われ私は情報屋としていっております。そちらに向かいましょう。」
「その前に父に報告させてもらえませんか?」
「どうぞ。」
私は、父の前に手を合わせて、「ありがとう」と心の中でいった。
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