第90話

数えたら50万円だった。

これで私に門口と関わるなと言っているんだ。


大金なのかもしれないけれど、もし私が本当に彼と結婚するつもりで何年もの間交際している仲だとしたら…、これは妥当な金額なのだろうか?


それとも安く見られてるの?



「門口っていうのは、この間、お前を式場まで送った男の母親だろ?」


「……うん……」


お父さんは悲しそうな顔で、



「ベラベラと捲し立てて言ったが、一番ムカついたのは、お前を馬鹿にしていたことだ」



「え」


私の肩に手を置いて、二階へと上がっていった。



「飯はいらんよ」


「……」




あの敷居の高そうな門口の母親が、私をなんと悪く言ったかは想像できる。



……だけど、こんなやり方でうちの家族をも巻き込むのは止めて欲しかった。




いてもたってもいられずに、門口にこちらから電話をかけた。

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