第88話
その結婚式の日から、再び門口から連絡はなくなる。
勿論、不意に目の前に姿を現すこともなくなった。
年間リースを解約したアクセスリースにも立ち寄ることはなくなったし、プロポーズされたのも夢だったのではないかとさえ思う。
部屋のクローゼットにはまだその夢が封じ込められている。
クリーニングにまだ出していないドレスと、パールのネックレス、
……そして、奇跡のようにピッタリ合った靴……。
身体で返せとか言いながら、何も言ってこないのは、やっぱり……。
思い出すのは、勝ち誇ったような見合い相手の顔と、……鼻の下を伸ばした門口の顔。
イラついてしまうから考えないようにしてるのに、神様はイジワルだ。
家族をも巻き込んで、私を更に追い詰める。
ーー営業所の預金残高が合わずに、残業して帰宅してきた夜だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます