第84話

「ちょ、どこまで来る気ですか?」



門口は会場の中まで着いてきた。




「俺が何のために正装してると思ってるんだ」


「は? 貴方も招待されてるんですか?」


「違う。こうやって人が集まる中にはそこそこ力がある人間も混じってることがあるからな」



私の同級生達にチヤホヤされながらも、式が始まるまでに人間を観察していた門口は、




「……ほら、いた」



何か獲物を見つけたような顔をして、そちらに向かっていった。




「あの人、新郎のおじさんでスーパーゼネコンの幹部らしいよ」




京子が教えてくれて、なるほど、と思った。


……本当に抜かりのない人。







「あら、あなたもこの式に招待されてたの?」

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