第73話

私の唐突な報告に、お父さんはポカン……としていた。

仕方ない。


急だもんね。


そして、お父さんから返ってきた言葉は……


「プロパンガスがどうしたって?」



一瞬、ふざけてるのかと思った。



「違う!」


「俺が片方しか聴こえないの知ってるだろ?

もっと大きな声で言えよ」



おまけに面倒くさそうにする態度にカチンときた。



「補聴器着けてよ!……って、お父さん、そのゴミ袋……なに?」




お父さんが適当にあしらったのは、朝のゴミ出しが忙がしかったからのようだ。



透明のビニール袋に沢山の衣類……。




「それ、お母さんの?!」



亡くなって、タンスに仕舞いっぱなしだった洋服や着物だった。

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